2024年6月30日、第39回サロマ湖100kmウルトラマラソンに参加しました。
紋別からのサロマ
昨年に引き続き、今年も僕は紋別からサロマ湖ウルトラマラソンに挑みました。
サロマ湖は大きな湖（日本で3番目）で、スタート地点の湧別町とフィニッシュ地点の旧常呂町（現在北見市常呂）は50kmほど離れています。
湧別町と旧常呂町、その間にある佐呂間町には、宿泊施設が十分にないため、遠方からの参加者は、前日は近隣の網走市や北見市街などに宿泊するか、テント泊か車中泊をします。うち宿泊の選択肢の一つとしてスタート地点よりさらに稚内寄りにある紋別市があり、僕はここを前泊と後泊の拠点としたのでした。
スタートラインまでの流れ
朝、いや深夜1時30分に起床し、いそいそとテーピングをしてワセリンを塗って着替えをして朝食をとって日焼け止めを塗って荷物を用意をして、ホテルを３時15分に出発するバスに乗り込みました。
30分ほどバスに揺られるうちに、窓の外には暗闇から次第に薄ら明かりが届きはじめ、スタート地点に到着する直前にはオホーツク海から昇る美しい日の出を拝むことができました。
湧別総合体育館でバスを降りると、そのまま真っ直ぐにスタートゲート付近の芝生エリアへ向かって歩きました。途中にある公衆トイレに立ち寄り、スタート地点にほど近い芝生の真ん中にある屋外ステージの上に荷物を置いて、上着と長ズボンを脱ぎ、あらかじめゼッケンを付けておいたシャツに着替え、シューズを履き替えて計測チップを巻きつけ、スタート直前用のジェルと攣り予防のタブレットを口に放り込みました。青と赤の大きな袋にそれぞれフィニッシュ地点用と大エイド用の荷物を分け入れ、３つのスペシャルドリンクを用意してから、荷物預け場所に移動して、これらをそれぞれの場所のスタッフの方々に預けて、それからゆっくりスタートゲートに向かって歩いていき、整列に並びました。
われながらここまで実にスムーズな流れ。まだ頭も体も眠っていることもあり、とにかく無駄なことをしたくないので、淡々とした一連の作業。
一年前は文字通り右も左もわからない状態。場所や勝手が分からないだけでなく、気分が高揚していて、今思うと相当にエネルギーを費やしていたと思います。
そんなこんなで、スタートまでは、ほぼ完璧に準備をしたつもりでいました。
順調に思えた序盤
湧別町長による号砲。パラパラと拍手がありますが、カウントダウン的なものはなく、今年も静かな旅の幕開けでした。
スタートから10kmまではキロ５分30秒で巡航。
湧別の町中をぐるりと一周してから北海道らしい真っ直ぐな一本道を海へ向かって走リます。５kmほどで右脹脛に痛みが出そうになったので蹴らない走りを意識。昨年のことがトラウマのように頭をよぎったものの、幸い最後までこれ以上悪化することはありませんでした。
20kmまでの間に最初の折り返しがあり、その随分と手前の13-14kmあたりでトップの選手とスライドします。恐るべき速さ！周囲のランナーたちも「はやっ」と思わず口にしていました。龍宮街道の木陰が途絶えるとそこから先はオホーツク海とサロマ湖を隔てる細長い砂州になります。
これぞサロマ湖ウルトラマラソンの景観！
砂州にはハマナスや葦原が自生し、その中にピンクや黄色や紫の色の小ぶりの花が可憐に咲いていて、さらに草花の中に身を潜める無数の小鳥たちの鳴き声が広い北の空に向かって響いていました。昨年は全く目や耳に入らなかったコースの景色。これも二回目の余裕でしょうか。この辺りではキロ5分30秒より速くなることもあり、スピードを抑えるように注意しながら走りました。
一方、朝5時のスタートから予報どおり気温は上昇する一方で、この頃にはすでに30℃を超えている感覚。脱水に気をつけて腰ベルトに入れた塩分ダブレットとハードフラスクに入れたスーパーメダリストを溶かしたドリンクを定期的に口にしながら、給水もしっかりと摂っていきました。
それでも容赦無く降り注ぐ太陽の光に、僕の身体の中水分が奪われていくことを確実に感じとり、この先で脱水症状になるのではないかと不安が募っていきます。一方で、陸連登録者に許されるスペシャルドリンクとして、最初の設置場所となる30km地点で僕はOS-1ゼリーを置いていました。そもそも初めてのスペシャルドリンクで何を用意したらいいのか直前まで迷ったのですが、何という適切なチョイスだろうか！そのOS-1ゼリーをあっという間に飲み干した時、本気でそう思ったのでした。
こうして僕は、尋常でない暑さの中での脱水のリスクをひとまず回避することに成功しました。ところが最高32.5℃まで上昇する暑さの影響により、40−50分を目安に摂取を予定していたジェルを身体が受け付けなくなっていきました。
綻んだ中盤
40km通過は3時間50分でスタートまでに思い描いていた理想のペース通り。このペースを中盤まで押して、後半の落ち込みを出来るだけ抑えて粘ろうというレースプランでした。
冷静に一年前の自分と比較してみると、フルマラソンのベストタイムは20分近く縮まり、4月に富士五湖118kmを完走し、トレイルレースでのアップダウンの経験もして、確実に僕は進化していると思います。そのことをサロマでも実感しながらレースを進めることができている、はずでした。
ちょうどフルマラソンの距離を過ぎた辺りで、脆くもほころびが生じます。
とあれよあれよという感じで、あっという間に足が鈍り身体が重くなります。
アップダウンのせいもありましたが、キロ7分から8分までスピードは落ちていきました。
走りながら自分の状況を考えると、ぺーすだうんの理由は序盤の飛ばし過ぎですが、少し前からジェルが入らなくなっており、ハンガーノックを疑いました。
そのため焦らずスピードを上げずに我慢して、ゆっくり次のエイドまで行き、そこでバナナやオレンジや梅干しの固形物をしっかりと口に入れました。これで復活まで様子を見る作戦です。
50km通過では5時間を回ってしまいました。この時点で今日はタイムのことを意識するのはやめようと思いました。いや、それどころかちゃんとゴールできるのかも怪しいと、不安との戦いに移っていました。
