2024年2月11日、冬らしい晴天のマラソン日和の下、第30回世界遺産姫路城マラソンに参加しました。
PB更新
マラソン2年生としての今シーズンの本命レースでPBを更新。
タイムは3時間19分27秒(ネットタイム3時間18分37秒)で、初めてサブ3.5をクリアしました。
スタート前に考えたターゲットは、松325、竹330(サブ3)、梅335(PB)。
今回の結果は「極松」と言えるでしょうか。
後からレースの詳細なラップを確認してみて最も良かった点は、ネガティブスプリットで走れたこと。
これは自分でも本当に驚きでした。
なぜなら、これまでのフルマラソン(6回)はすべて後半(大)失速の展開。
イーブンペース型のレースは全く想像できなかったからです。
伸びしろのこと
このように望外の好結果となったのには、ざっと下記の要因があると分析しています。
- トレーニング
- テーパリング
- 食事
- 睡眠
- ウエアリング
- 補給、給水
- レース戦略
- マインドセット
これらのうち、正直、どれがどれくらい結果に影響を与えたかわかりません。
他にも気がついていない要因があるかもしれません。
反対に、もしかしたら自分では成功要因と挙げているものが足を引っ張っていたのかも。
見方を変えると、今回のアプローチや分析に誤りや至らない部分があることこそが、僕の「伸びしろ」と言えます。
ですので、今この時点で、過去最高の成功体験をしっかりと掘り下げることで、次のレースへの楽しみに繋げたいと思います。
と、前置きが長くなりましたが、ツッコミどころ満載でしょうし、後で見返したら恥ずかしい内容だと思いますが、今回は僕なりに一つ一つ整理した内容をメモとして残します。
トレーニングのこと
12月初旬の湘南国際マラソン(記事はこちら)の疲労抜きから9週間でざっくりの計画を立てる。
今回はLSDをたくさん取り入れて、ケガに注意しつつ距離を踏むことを重視。
その中で高尾山トレラン(記事はこちら)や山手線ぐるり(記事はこちら)などを入れて時間走を楽しんだ。
レース前月の1月は自分史上最長の月間走行距離(280km)に。
今回もインターバル走やトラックでの練習などは行ってないものの、レースの1ヶ月前からは、ジョグの中での流し、坂ダッシュ、閾値走を試した。
レース3週間前には10マイルレース(湘南藤沢市民マラソン)を走り、その前日の26km走と合わせてセット練習とした。
今回の本番レースでは、LSDを中心とした距離踏みの成果は、30km以降の走りにおいて効果として実感することができた。
記録としても、これまでと全く異なる前後半ラップだった要因は、ここにあると考えるのが妥当かなと。
流しやダッシュを取り入れたことにより、大きく身体を使った走り方を覚え、多少なりともスピードアップに繋がった。
閾値走のおかげで、本番は余裕を持ってペースを維持することができた。
テーパリングのこと
テーパリングはどれくらいが適切なのか、正直よくわからない。
そもそも僕のレベルで必要なのだろうか、とも思う。
ただ、1週間前に「強くなるための練習」は、やってはいけないと理解している。
その意味で、このタイミングではしっかりと距離や強度を落とすことが大事であり、ここを意識した。
以前はマラソン大会の1週間前に「強くなるための練習」を頑張ってしまい、本番までに疲労が抜けず10km手前で失速してしまったことがある。
じつは今回も3-4日前に強めのトレーニングをしたい衝動に駆られたが、過去の苦い経験を繰り返さないようにした。
食事のこと(レース前)
2週間前から体重を少し落とすよう、食事の量と内容を気にするようにした。気にする程度でダイエットはしない。
体重コントロールは予定通り行うことができた。平常時の2-3kg減。幅があるのは計るたびに違ったので。ここも確実に結果にポジティブに影響したと考える。
カーボローディングでは、二日前からいつもより多めに炭水化物を摂取した。効果は不明だが、少なくとも本番でのガス欠はなかった。
今回初めてカフェイン断ちを行なった。一週間抜いてから、スタート1時間前とレース中にカフェインを摂取した。
僕はコーヒーを一日5杯以上飲むので、カフェイン断ちは効果があればかなり大きいはず。けど、残念ながら実際に効果があったかどうかは分からなかった。
ただ、レース当日夜の寝つきが最近になく悪かった。これはレース後に久しぶりに飲んだコーヒーの影響ではないかと疑っている。
普段からお酒は飲まないので、アルコール断ちは関係なし。
睡眠のこと
通常6−7時間の睡眠。直前一週間も変わらず。
前日も就寝時刻は違えど、いつも通りの睡眠時間をしっかり確保。
ここを外すと最悪の場合はそれまでの準備を打ち消し、当日のコンディションをとにかく悪い方に上書きしてしまうので、地味ではあるけれど大事なこと。
ウェアリングのこと
Tシャツ、ドライレイヤー、ショートパンツ、アームスリーブス、グローブ、カーフスリーブス、5本指ソックス、キャップ、サングラス、ウィンドブレーカー(スタート直前まで)。
気温4度でスタート場所に整列することに対してウェアリングに悩んだ。本番では今回もウィンドブレーカーは小さく畳めるタイプを用意して、スタート前に脱いでズボンのポケットに突っ込んで走った。使い捨てにしてゴミにする方法もあるが、僕は好きではない。
レース中は日陰や風の影響で冷えたり温まったりが頻繁にあった。これに対しグローブの着脱によって小まめに体温調整をした。計10回は着け外しを繰り返した。
アームリーブスはスタートからゴールまで外せなかった。
汗冷えを防ぐドライレイヤーも必須。
補給・給水のこと
補給はショートパンツのポケットにジェル(アミノバイタル2、マグオン2、トップスピード1)、ツーラン、塩タブレット4を携行。
ジェルは7kmおき(7km、14km、21km、28km)に摂取。過去最も短いインターバルで。
最後の35kmではカフェインの入ったトップスピードを投入。
ツーランはレース前に飲んでおいて、25km付近で追加。
エイドの補給食は一切摂らなかった。理由は走るリズムを変えたくなかったから。
給水は一度につき一口か二口程度の摂取量で、7-8回だったか。気温が低いため脱水の心配はなかった。コップを取る際は常に先にあるテーブルを狙い、接触を避けてリズムを保つよう心掛けた。
レース戦略のこと
レース前に考えたペース設定は、キロ4分55秒から4分50秒。これを絶対に上回らないことに決めたはずだった。ところが、結果はこの設定を守ることができた区間はほぼ皆無。(本来は失敗するパターンだが、結果は良かった)
レース中は自分のリズムとペースを維持することに集中。前半は4分40秒、後半は4分30秒を上回らないことに注意を払った。実際にこれを気にして意図的にスピードを抑える場面が何度もあった。なぜこの設定としたかは感覚のみ。
走る自分と対話しながらペース設定して、周囲のランナーのペースに比較的惑わされることなくレースを進めることができた。時計は1キロ毎のラップを確認することに留め、フィニッシュ目前の最後の直線でゴール横に設定された時計を確認するまで、ゴールタイムのことは一切考えなかった。これによって、レースの序盤から中盤で何度もタイム計算をして「必要以上に脳のエネルギーを費やすこと」や、中盤から終盤にゴールタイムを意識して「無駄な力みが生じること」を回避することに繋がった。
コースマネジメントは、昨年も同じコースを走っていることを活かすことができた。「折り返しまでの登り基調」の序盤、「折り返しから30 kmまでの下り基調」の中盤、「サイクリングロードから市中へと戻る勝負どころ」の終盤。大きく三分割して考えた。
とくに、昨年は足が売り切れてしまった30kmまでを余裕を持って走ることを意識した。結果、30km時点で足と身体に十分に余力を感じることができたため、残りの距離(12km)に合わせて力を出し切ることができた。40-41kmで左足のハムが攣りかけて失速しかかった時を除けば、このレース中は終始足は動き、安定したペースでゴールまで走り切れた。
マインドセットのこと
レース前、PB更新に向けて大きく期待していた。その様子は前回書いた通り。(記事はこちら)
これは本来は良くない傾向。このような状態ある時、マラソンに限らずスポーツの試合や学校のテストや仕事など数々の場面で、大抵思い通りに行くことはない。それどころか、反対の結果となることを過去に何度も経験してきた。
なので、高揚する気持ちを抑え、それまでの過程のことは一旦忘れ、スタートから後は冷静かつ客観的に自分の状態を把握した上で、今より先の将来を細かくリプランすることに集中した。
結果としてスタート前に思い描いていたレースプランに対して、良いことも悪いこともこだわることなく、柔軟な姿勢で走ることができた。
それと重要なことをもう一つ。
「他人と比較しないこと」
これはランニングに限らず、生きる上で今年のモットーとしていること。
レース中、「周りを走るランナーたち」や「そこにはいない他の誰か」と自分とをつい比較してしまう瞬間がある。これは遊びでマラソン大会を楽しんでいる僕にとって全く無駄なこと。簡単なことのようだが、この心持ち一つでも、結果に大きく影響を与えたように思う。
さらに忘れてはならない大事なこと。
「マラソン大会に参加できることへの感謝の気持ち」
家族、友人、知人、一緒に走ってくれるランナーたち、大会のスタッフと応援してくれる地元の方々に対して。また、マラソンを走れる平和な世の中と健康な身体に対して。
姫路城マラソンのコースは、田園に囲まれた集落を抜けたり、道幅が狭まくなる区間があるが、その分、沿道の方々の応援が近くなり、とりわけこれが本当に力になった。余裕のあった35kmくらいまでは、沿道の声援に対して「笑顔で応える」ことで、僕自身がリラックスした状態となることに繋がり、ランニングのパフォーマンスにも大きな効用があった。
また、マラソン大会のように明るく大勢で楽しむイベントの中では、関係するすべての人々にオキシトシンがもたらされるのではないかと思う。このような空気感の中に身を置けることは本当に素晴らしいこと。一人で走っても絶対にできないことが、大会だとできたりすることがあるのは、こういう理由もあるのではないだろうか。
以上が今回のレースメモです。
この先にこのメモを見返すことがあるとき、
「あの頃の僕はまだこんなレベルだったのか」
と気恥ずかしく思っていることを期待します。
次のレースにつづく