憧れのUTMBに繋がるレース。

2025年6月21日、日本で初めてのUTMBシリーズとして石川県の加賀温泉で開催された、Kaga Spa Trail Endurance 100 by UTMBに参加しました。

レースの距離は20k、50k、100kの3種類あり、僕が申し込みした50kは参加者の半数が外国人。

アジア圏を中心に世界40ヵ国からランナーが集まったそう。

UTMB人気と日本へのインバウンド需要で大盛況の大会となりました。

スタートは山中温泉の中心にある山中座前の広場から。

伝統的な日本の温泉街にUTMBの大きなゲートと時刻盤が設置され、華やかで賑々しい雰囲気からレースを開始しました。

梅雨時期の開催で雨も覚悟していましたが、当日は晴天で酷暑のコンディション。

近隣の小松市ではその日の全国最高気温36.9℃を観測され、まさに日本一暑い大会だったと思います。

レース中は、脱水に注意して、小まめな水分摂取、ナトリウム補給、エイド毎の水浴びを繰り返したものの、やはり熱中症に襲われてしまいます。。

序盤スタートから苅安山までは、流れに身を預けてプッシュしないよう、慎重に足を進めました。

各ランナーの背中に張られた国旗の入ったゼッケンを確認したりして、国際レースの範囲を楽しみながら。

スタート直後から気温はぐんぐん上がり、最初の山である刈安山ですでに体感温度は30度を超えました。

刈安山から下りたダム湖沿いのロードでは、容赦のない強い陽射しに照らされ続けます。

二つ目のエイドとなる18km地点の九谷ダムエイド後の林道から、走ることが出来なくなり、次のエイドまで6kmの距離が全歩きになりました。

登り基調ながら斜度は緩く、場所により日陰もある走れる箇所なのに、全然足が動きません。

今思えば、早くもこの時点で熱中症の症状が出ていたのでした。

3つの目のエイドとなるCP2 九谷親水公園では、ゆっくり時間を使って、掛水をして、給水をして、補食を摂り、さらに掛水をしてスタートとしようしたものの、どうも身体がダルい。そして眠い感じがする。

ちょうど建物の中にあるベンチが空いていたので、リュックを下ろし、腰を掛けて、しばらく目を閉じて休みました。

時間は5分ほど。初めてレース中に睡眠をとりました。

睡眠のおかげで少しスッキリしたものの、それでも体調は戻らずさらに5kmほどのだらだらロードもゆっくり走ったり歩いたりして繋いで行きました。

あとで確認したら九谷ダムからの平地で150人ものランナーに抜かれていました。

こんな状態でロードと林道のパートが終わり、AS3 今立あいおす広場のエイドまでの山を越えると、いよいよこのレースの核心部へと突入します。

「ここは地図や高低図では読めないハードな場所ですよ」

事前のコール説明で言われていたのですが、三童子山を巡る約10kmの山道がとにかくキツかった。

行けども行けどもピークが現れる感じで、ひたすら同じ山を登り返しているような錯覚に陥る。

まだあるのか、まだあるのか、と。

これは肉体的にも精神的にも削られるやつですね。

おまけにピーク稜線の上で直射日光を浴び続けるので、体温が下がらず深部体温がマックスとなりました。

そんな状態ですので、コースを進んでいると山の中でダウンしたり嘔吐する人が、定期的に現れます。

とうとう僕も、三童子のピーク手前の稜線で、頭がボーとして眠くなら症状が現れてきて危険を感じました。

風が通る場所を見つけて座って休息。

そのまま15分くらい睡眠をとりました。

眠ったおかげで少し回復して、なんとか革新部をやりすごしました。

それでも山を降りてからの林道は再び全歩き。

この先にまだ鞍掛山が残っており、リタイアと関門アウトを少し意識します。

リタイアして翌週のサロマに備えるか、それとも関門アウトまで粘るか。

結局、僕は「今できることに力を尽くそう」と、後者を選択することにしました。

ところが、全歩きで辿り着いたCP2 鞍掛山登山口エイドを出ると、不思議と身体が回復している感じがあります。

6時間くらい続いた不調が嘘のように、リフレッシュした身体で、文字通りに足取りが軽くなりました。

時刻が午後5時を回り、朝から無慈悲にも注ぎ続けていた、あの日差しが和らいだおかげだったのだと思います。

ここからの急登で相当な数のランナーをパスしました。

途中では、日本海を望むビューポイントを楽しむ心の余裕も出ました。

最後の山はヘッデンを付けてナイトランに。

欲を言えば、ゴール近くの風光明媚な鶴仙渓の中は、水と緑が陽の光に輝いている日中に走りたかった。

そして、スタートから11時間半を経て、UTMBのゲートを再び潜ってフィニッシュ!

タイムや走りはともかく、目標のストーンを無事にゲットしたのでした。

旅はつづく。

投稿者
KUGE RUN

九郎

コロナをきっかけにジョギングをはじめる。 「人はどうして走るのだろうか?」 と思いながら普段は地元の江の島周辺を走り、 ときどき各地で旅ランを楽しんでいる。

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